クエン酸

 クエン酸は、レモンやライム、グレープフルーツといった柑橘類に多く含まれる酸味のある成分。梅干しやお酢などにも、豊富に含まれています。

 遠足のおにぎりに入っていた梅干し。おにぎりがいたまないように、そして、疲れがとれ、元気に帰ってこられるようにという願いがこめられていたように思います。
クエン酸には抗菌作があるだけでなく、体内でエネルギーを生み出す過程(その名も、クエン酸回路)で、クエン酸が中心的な役割を果たしていることから、疲労回復、疲労予防にも効果があるといわれています。

 クエン酸はまた、カルシウムや鉄、亜鉛などの金属とくっつくことで水に溶けやすくなり、これらのミネラルの吸収を高めることが知られています。何気ない食事の中にも、この働きが利用されています。例えば、牡蠣フライにかけたレモン汁。牡蠣に含まれる亜鉛やカルシウムなどのミネラルは、レモン汁中のクエン酸と結合して吸収されやすくなります。小魚のマリネも同じ。小魚のカルシウムとお酢のクエン酸が一緒になることで、カルシウムを吸収しやすくしているのです。クエン酸とミネラルの相互作用を利用しているのです。

 ただし、注意していただきたいのが、アルミニウム。クエン酸と一緒になると、アルミニウムの吸収も高まってしまいます。大量のアルミニウムを摂取し続けると、アルミニウムが骨や脳に蓄積し、アルミニウム骨症(骨が痛む)、アルミニウム脳症(物忘れがひどくなる、言葉が出にくくなるなど)につながる危険性も知られていますから、気をつけたほうがよいでしょう。
 アルミニウムは、胃薬の制酸薬として用いられることが多いのですが、合成ヒドロタルサイト、アルジオキサなど、アルミニウムを含んでいるかどうかわからない名前のものも少なくありません。心配な方は薬剤師に確認を。