クロレラ

 サプリメントが今ほどブームになっていないころから、「からだによい」といわれてきたクロレラ。サプリメントよりも「健康食品」といったほうがぴったりくるような気もしますが、「○○に効いた」「○○が治った」という“体験談”満載のチラシをご覧になった方も多いでしょう。でも、その一方では、「病気が治らない」「体調が悪くなった」といった訴えを耳にすることも・・・。

 クロレラは、沼や湖などの淡水に自生する藻類のこと。名前は、「緑色の小さな生物」を意味するラテン語に由来するといわれます。
 成分は、タンパク質、脂質、糖質、食物繊維、葉緑素、ビタミン類(ビタミンB群、ビタミンK、カロテンなど)、ミネラル(カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、カリウムなど)・・・。商品によって含まれる量に差はあるものの、実に多種多様な成分を含んでいることが知られています。
 抗酸化作用や免疫活性化作用などがあるともいわれていますが、今のところ、それを裏づけるデータはないようで。現段階でのクロレラの位置付けは、「さまざまな栄養素を、バランスよく補給できる栄養補助食品」というところでしょう。野菜の摂取量が少ない人、偏食がちの人、外食が多い人などにはおすすめです。
クロレラには、副作用も知られています。代表的なものは、下痢と光過敏症(日光に当たった部分が赤く腫れたり、かゆくなったりするもの)。このような症状が出ているにもかかわらず、病気が治ることを信じて摂取し続けていた例もあったと聞きました。クロレラに限らず、サプリメントを摂取中に体調の変化を感じたときは、摂取をやめて、医師・薬剤師にお知らせ下さい。

 栄養素を豊富に含むクロレラですが、それだけに、注意していただきたい人もいます。
 まずは、抗凝固薬「ワーファリン」を服用中の方。クロレラには、ワーファリンの作用を邪魔するビタミンKが含まれていますから、一緒に摂ると薬の作用が弱まってしまうことがあります。
 また、クロレラはカリウムを豊富に含んでいます。カリウムには血圧を下げる作用もありますが、ある種の降圧薬(ACE阻害薬、ARB、カリウム保持性利尿薬)を服用している場合は、血中のカリウムが増えてしまい、筋力低下、不整脈、下痢などの症状があらわれてしまうこともあるのです。
 さらに、鉄の含有量も多いことから、C型肝炎などで鉄の摂取制限をされている人、貧血などで鉄剤による治療を受けている人では、鉄が過剰になるおそれがありますから、注意が必要です。
 これと同じようなことは、スピルリナや青汁にも言えます。「○○にいい」という評判だけでなく、そのサプリメントに、どんな成分が含まれているのかについても、関心をもつようにしましょう。