ポリグルタミン酸

 この冬、思わぬところで話題の的になってしまった納豆。健康情報番組でのデータ捏造に、裏切られたような思いもしましたが、「ダイエット効果はなくても、からだにいい食べ物なんだから」と納豆を擁護する声も多く、その良さを見直すことにもなったようです。
 タンパク質、大豆イソフラボン、ビタミンK、ナットウキナーゼ、鉄、マグネシウム・・・納豆には、実にさまざまな栄養素が含まれていますが、あのネバネバにも、私たちの生活や健康に役立つ物質が存在することがわかっています。

 その名前は、ポリグルタミン酸。納豆菌が発酵する過程で自然に作り出される物質で、アミノ酸の一種であるグルタミン酸が、30~500個ほど(poly-は、「多くの」を意味する接頭語)が連なった構造をしています。
 水になじみやすく、たくさんの水を保持する性質をもつポリグルタミン酸。肌に潤いを与えるとして、保湿効果をうたった化粧水や美容液、石鹸などにも配合されています。もちろん、製品自体には納豆独特のにおいや粘りはないので、ご安心を。
 さらに、この成分には、カルシウムの吸収を助ける働きがあることも明らかになりました。
 食べ物に含まれる栄養素は小腸で吸収されますが、食べた分すべてが、吸収されるというわけではありません。特にカルシウムは吸収されにくいミネラルの一つでもあり、比較的吸収されやすいとされる牛乳のカルシウムも、4割程度しか吸収されないといわれます。
 これは、腸内でカルシウムがリン酸などとくっつき、吸収されにくい物質となってしまうためと考えられています。しかし、たくさんのマイナスイオンを有するポリグルタミン酸は、この結合を阻止することができ、その結果、カルシウムが他の物質に邪魔されることなく、吸収されるようになるというわけです。

 ポリグルタミン酸は主に、カルシウムの吸収が低下している人のレベルを正常な状態に近づけるとされ、安全性の高い物質といわれています。
 通常の食事に含まれるくらいのカルシウム量であれば、問題になることはまずないと思われますが、カルシウムを含む医薬品やサプリメントなどの併用は注意したほうがいいかもしれません。食事はきちんと摂っているのにカルシウムが不足気味なのか、カルシウムの摂取量そのものが少ないのか・・・自分の食生活をよく考えて、より適切なサプリメントを選びたいものです。特に、骨粗鬆症の治療を受けている場合は、摂取前に、医師や薬剤師に相談を。