フィーバーフュー

 いつのころからか、甘い洋菓子は「スイーツ」と、それを作る職人さんは「パテシエ」と呼ばれるようになりました。園芸、庭仕事、土いじりなどといわれていたものも、「ガーデニング」と言い換えられることも多くなり・・・。中身は同じでも、呼び方が変わると、イメージはだいぶ変わってしまいますね。

 今回のフィーバーフュー、ガーデニングがお好きな方は、「マトリカリア」という名前でご存知かもしれません。観賞用としては、一重咲きのもの、八重咲きのもの、ポンポン状のものなど、多くの品種があり、初夏から夏の終わりにかけて、私たちの目を楽しませてくれますが、もともとは、黄色い花弁に白い花びら。マーガレットやカモミールに似た清楚な花をつけます。
 フィーバーフューという名前が、「熱(fever)を、減らす・下げる(few)」ことに由来することからもわかるように、ヨーロッパでは古くから、熱さましや痛み止めとして用いられてきました。最近では、片頭痛によいということで注目され、「慢性頭痛治療ガイドライン」にも、片頭痛の予防に“ある程度有効”なものとして記載されています。
 片頭痛に効果があると考えられるのは、フィーバーフューの葉に多く含まれるパルテノリドという成分。痛みを感じたときに、生の葉を1枚噛むと楽になるそうなのですが、実際に口にしたことがある人の表現を借りれば、「片頭痛の痛みを我慢するか、葉の苦味を我慢するか、真剣に悩む」ほど、強烈な苦味があるとのこと。くれぐれも、ご注意を。
 近ごろは、この葉をフリーズドライにしてカプセルに詰めたサプリメントなども販売されています。ハーブティーとして飲まれることもありますが、パルテノリドが熱にあまり強くないため、片頭痛に対する効果は少し弱くなってしまうかもしれません。
 比較的安全性の高いハーブといわれていますが、フィーバーフューの摂取によって、口の中が荒れたり、胸焼けや吐き気、腹痛などを起こしたりすることがあります。また、フィーバーフューには、血液を固まりにくくしたり、ある種の薬剤を代謝する酵素の働きを抑えたりする作用があることも知られています。服用中の薬剤や治療中の病気がある場合は、摂取する前に、医師や薬剤師に相談して下さい。

 加えて、ぜひ、相談していただきたいのが、頭痛を我慢されている方。今は、新しいお薬も開発され、さまざまな治療法が行われています。フィーバーフューの花言葉の一つに、「忍耐」という言葉があるようですが、忍耐力は別のところで使っていただくとして・・・。痛みのある時はできるだけ早く薬の助けを借りながら、痛みのない、快適な生活を送ってください。