フコイダン

 フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」の人気コーナー、食わず嫌い王選手権。大好物の食べ物が並ぶ中、1品だけある嫌いなものを当てゲームで、いろいろな食べ物が嫌いなものとして挙げられるのですが、比較的、よく名前が出てくる回数が多いのが、レバー、セロリ、とろろ、酢豚に入っているパイナップル、シュウマイの上のグリーンピース、そして、モズク。
 「ネバネバしているから」「ヌルヌルしてるのが」と嫌いな理由が語られるのですが、そのネバネバ、ヌルヌルにからだによい成分が含まれているとしたら・・・。


 モズクやコンブ、ワカメなどの海藻類の表面を覆っている「ぬめり」。多くの人に嫌われる原因ともなってしまっているのですが、これは、海の中の他の生物や激しい波などから身を守り、傷ついた個所を自分で修復するためのもの、といわれています。
 そのため、単なるぬめり、と洗い流してしまうにはもったいないような、さまざまな機能があることが少しずつ明らかになってきています。
モズクに多く含まれるといわれるのは、フコイダンという成分が含まれています。これは、フコースという糖を主成分とし、それに硫酸基がついたものが長く連なった多糖類(水溶性食物繊維)の一種です。
 他の水溶性食物繊維と同様に、おなかの調子を整える、コレステロールの上昇を抑えるといった作用も期待されるのですが、フコイダンがもつといわれる作用は、それだけではないようです。
 抗腫瘍作用、いわゆる抗がん作用―。1996年の日本癌学会で、「フコイダンの抗がん作用の研究報告」が発表されて以来、注目を集めるようになりました。
 これは、フコイダンのアポトーシス誘導作用によるものと考えられています。アポトーシスとは、「枯葉が、はらはらと自然に落ちる状態」に由来する言葉で、古い細胞が、自ら消滅していくことをいいます。
 フコイダンには、がん細胞に直接働きかけることにより、がん細胞にアポトーシスを促す作用があると考えられています。抗がん剤と併用することで、抗がん剤の効果を上げる、抗がん剤の耐性を防ぐなどともいわれ、一部では、がんの代替療法としての利用も始まっているようです。 がんの患者さん、ご家族にとっては、少しでもよくなれるなら何でも試したいという思いでいっぱいかもしれません。でも、中には、ちょっと誇大広告では、と思われる宣伝・情報がみられるのも実情です。主治医の先生とよくお話をされて、必要なときには複数の先生の意見も聞いて、よりよい方法を選んでいただきたいと思います。