カシス

 そろそろ、お酒を飲む機会も増えるころ。女性に人気のカクテルの一つに、カシスオレンジがあります。甘口で、アルコール度数も低め。「カシスオレンジ」という語感のよさも、好まれる理由の一つなのかもしれません。

 ちょっとおしゃれな感じもするカシスという名前は、フランス語です。これが英語になると、ブラックカラント(black currant)、日本語では、黒すぐり(黒酸塊)。果実が濃い紫色をしていることから、こう呼ばれたのでしょうが、「黒すぐりオレンジ」では今のような人気はなかったかも・・・。
 ジュースや果実酒、ジャム、お菓子の材料など、食用として広く利用されているカシスですが、1700年代のヨーロッパの古い書物では、「若返りの秘薬」「不老長寿の植物」としてカシスが紹介されていたとも伝えられています。
 最近は、目によいサプリメントとしても知られるようになりましたが、その主成分は、ポリフェノールの一種であるカシスアントシアニンといされています。
 パソコンのモニターやテレビなど、比較的近いところを集中して見続けていると、一時的に目の焦点が合いづらくなるように感じることがあります。これは、目のピントを調節している毛様体筋が、長時間の緊張で固まったような状態になってしまったために起こるもので、「ピントフリーズ現象」とも呼ばれます。
 カシスアントシアニンは、毛様体筋に働きかけてその緊張をやわらげ、目の調節機能の回復を助け、目の疲れを軽減させてくれるといわれています。ブルーベリーもアントシアニンを含み、目の疲れによいと言われますが、毛様体筋に対する作用だけを比べると、カシスのほうがすぐれているとの報告もあるようです。
 カシスにはまた、毛細血管の血流をよくする作用もあるとされ、血行の悪さからくる目の下のクマ、肌のくすみ、手足の冷えや肩こりなどの改善にもよいといわれています。
 大きな問題となるような医薬品との相互作用は、今までのところ知られていませんが、品種によってはカルシウム、マグネシウム、カリウムといったミネラル、ビタミンC、タンニンなどを多く含むものもあります。服用中の医薬品がある場合は、その吸収や作用に影響が及ぶ可能性も考えられますので、大量に摂取することは避けたほうがよいでしょう。

 目の疲れに、肌のくすみに、手足の冷えに。カシスは、作用の面でも女性の味方といえそうですが、カシスオレンジではその“効果”は期待できませんので・・・。くれぐれも飲み過ぎないように。