茶花

 「ありがとう」を意味する島根県出雲地方の言葉、「だんだん」。NHK連続テレビ小説のタイトルにもなり、広く知られるようになりました。古くからの城下町で、茶どころでもあるこの地方には、「ぼてぼて茶」という郷土料理があります。
 これは、茶碗に注いだ番茶を茶せんで泡立て、その中にご飯や刻んだ漬物、煮豆などを入れたもの。箸を使わず、茶碗を回しながら食べる(飲む?)のですが、使う茶葉は、花がついたまま乾燥させ、から煎りしたもの。普通の茶葉では、きれいな泡が立たないのだそうです。

 茶カテキンが「体脂肪が気になる方」の特定保健用食品の関与成分となっているほか、お茶でうがいをすると風邪の予防になる、お茶のうまみ成分・テアニンにはリラックス効果があるなど、さまざまなお茶の効用が知られていますが、それらはすべて、お茶の葉だけを用いたもの。
 一部の地方で食用とされてきた以外、お茶の花(茶花)が薬用とされた記録は極めて少なく、その成分や作用について調べられることは、ほとんどなかったようです。
 お茶の場合、葉に十分な栄養を与える必要があり、花が咲く前に摘み取られてしまうことが少なくありません。そのため、花を見る機会はあまりありませんが、9月の終わりから10月にかけて、きれいな白い花を咲かせます。チャはツバキ科に属する植物ですから、花が美しいのも納得です。
 さらに、最近の研究によって、茶花特有の成分・floratheasaponin類が存在することが明らかとなりました。その成分と作用の関連性は不明ですが、茶花から抽出したエキスの動物実験では、胃を保護する作用、糖の吸収を邪魔する作用、アレルギー反応を起こりにくくする作用、体重の増加を抑える作用などが確認されています。
 今年発売された「茶花抽出物」配合の緑茶飲料。そのペットボトルには、「毎日のウエイトコントロールに」というキャッチフレーズがついています。もちろん、これだけで痩せられるということではありませんが、食事を見直すきっかけの一つとして、上手に活用してみるのもよいかもしれません。糖尿病や高血圧などで、すでに治療を受けている人は、現在の治療をきちんと続けることが第一です。こうした飲料やサプリメントなどを試してみたい場合は、必ず医師や薬剤師に相談を。

 ドラマ「だんだん」の今後の展開も気になるところですが、茶花についての今後の研究成果も楽しみに待ちたいところです。