グルコマンナン

 こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせ、命を落とす事故。何度も注意が呼びかけられているはずなのに、今年もまた起きてしまいました。国民生活センターによると、1995年から2008年の間に確認された死亡事故は、22件。4歳、2歳、1歳10ヶ月、1歳6ヵ月という小さな子どもたち、そして79歳、82歳、87歳というお年寄り。大手メーカーは現在、製造を休止していますが、防ぐことができる事故であるだけに、痛ましい思いがしてなりません。

ローカロリーで、ダイエットによい食品の代表格ともいえるこんにゃく。「おなかの砂おろし」「体内を掃除する食べ物」ともいわれます。その主役が、こんにゃくに2~3%含まれる食物繊維。その主成分はグルコマンナンと呼ばれる多糖類で、グルコースとマンノースが連なってできたものです。
これに水酸化カルシウムなどを加えて固めると、弾力のあるこんにゃくが出来上がりますが、こんにゃく入りゼリーは、寒天やゼラチンの代わりにこんにゃく粉を使用したもの。ぷるぷるした食感は人気でしたが、弾力性や粘性は一般的なゼリーよりも強いとされ、事故につながってしまったのかもしれません。

グルコマンナンはまた、水を含むと膨らむ性質をもつことから、「空腹感を感じない」「少量で満腹感が得られる」などとうたったダイエット食品にも利用されています。ゼリーやクッキー・ビスケットなど、一般の食品と同じような形態の商品に加えられていることもあります。
その中には「コップ1杯の水で摂ると効果的です」と記載された商品もありますが、ダイエットのためだけではなく、安全のためにも、水分と一緒に摂ることが大切です。また、グルコマンナンはお腹の中で膨らみますから、急いでたくさん食べると、あとで苦しい思いをしてしまうかもしれません。飲み物と一緒に、ゆっくり味わって摂るようにしましょう。

グルコマンナンなどの食物繊維は便通を整えるほか、糖やコレステロールの吸収を抑える働きもあるといわれています。しかし、この働きは、ある種の薬の成分の吸収も抑える可能性があるということでもあります。服用中の薬剤がある場合は、医師・薬剤師に相談するようにして下さい。また、長い間、サプリメントで多くの食物繊維を摂り続けると、必要な栄養素が不足することもあるかもしれません。「健康のため」とはいえ、だらだらと摂り続けることは避けたほうがよいでしょう。

寒い冬の夜。おでんの温かさには、なんともいえない幸せを感じます。でも、こんにゃくを食べるときは、慎重に。中が熱くてびっくり、大騒ぎということにならないように。