サジー

 「海は荒海、向うは佐渡よ」という歌詞で有名な、北原白秋作詞の「砂山」。その3番の歌詞には、こうあります、「かえろかえろよ 茱萸原(ぐみわら)わけて」。白秋は砂丘を訪れた時、そこに広がるぐみの原っぱに驚いたと記しています。
ぐみ。さくらんぼに似た実。すっぱくて、ちょっと甘くて、えぐみと苦味もあって、時々、虫も入っていたりして、決しておいしいものではありませんでしたが、子供の頃食べた思い出に誘ってくれるものでもあります。山茱萸(さんしゅゆ)とも呼ばれ、古くから民間薬・漢方薬としても用いられてきました。

サジーは、そんなグミ科の植物の一種。ウミクロウメモドキという別名もあります。中国やモンゴル、チベットを中心に、海辺や高原地帯、砂漠などに多くみられ、外見の愛らしさからはちょっと想像できないようなたくましさも持ち合わせているのです。
それは、サジーには、他の植物よりも多くの水分を取り込み、一旦、取り込んだ水分を逃さないようにするための仕組みがあるため。砂漠で生き抜いてきたたくましさを感じます。水を逃がさない仕組みについての詳細は不明ですが、その秘密は、やや小さく厚めの葉と、水平に広く広がる根にあると考えられています。 しかも、その根は放線菌(フランキア属)と共生。サジーがこの菌に栄養を与え、この菌が窒素を固定(植物が窒素ガスを利用できる形に変えること)し、それをサジーが利用する。だから、あれた砂漠でも生きていけるのでしょうね。植物としては、かなり個性的で有用であるとされているのですが、サプリメントとしての力は、まだまだ未知数、というのが現状です。

しかし、そんな中でも注目されているのが、血流改善作用と抗炎症作用。特に肝臓の線維化(組織が固くなって、正常な働きができなくなること)を防ぐ作用があることを示すデータもあり、注目されています。また、ビタミンB群やC、カロテンなどの抗酸化作用を示す成分も豊富であることから、主に健康茶として摂取されることが多いようです。
肝臓によさそうなサプリメントでも、肝疾患の人の使用は避けましょう。肝臓によいといわれるサプリメントや医薬品(ウコン、シジミ、ウルソデオキシコール酸など)で、肝臓の機能を逆に悪化させることも少なくありません。サジーに限らず、肝臓に不安がある人は安易な使用を避け、医師・薬剤師に必ず相談するようにして下さい。