アカメガシワ

 クリスマスの話をするのは、かなり気が早いのですが、準備は静かに進んでいるようで・・・例えばあの真っ赤なポインセチア。9月下旬の今ごろから40日間ほどは、日中は十分に日光に当て、夜間(夕方~翌朝)は光を一切遮って真っ暗な状態にする「短日処理」という作業が行われます。これをしっかり行わないと、葉はきれいに色づかないのだそうです。

ポインセチアはトウダイグサ科の植物。「トウダイ」といっても灯台でも東大でもなく、まるい花が、すっと伸びた茎の上に咲く様子が、ロウソクをともす灯明台(燭台)に似ていることから、こう呼ばれるようになったといわれています。アカメガシワもこの仲間。
新芽や新葉の表面が、赤く短い毛で覆われ、赤く見えるところから「赤芽柏」という名前がつけられました。葉は、本物の柏と同じように大きくなり、食べ物を包むために使われたことから、「菜盛葉(サイモリバ)」「五菜葉(ゴサイバ)」という別名もあります。

民間薬としては、あせもや湿疹などに、葉を乾燥させて煎じたものをのんだり、お風呂に入れたりして用いられることもありますが、医薬品やサプリメントに使われるのは、樹皮の部分。タンニン類(ベルゲニン、ゲラニインなど)を含み、下痢や便秘の改善に役立つとされています。
下痢と便秘、正反対じゃない?と思われるかもしれませんが、タンニン類は腸の粘膜を引き締めて(収斂作用)下痢をしずめる一方、便をやわらかくして排便を助ける作用もあることが確認されています。そのときの腸の状態に応じて作用を発揮し、胃腸機能を調整すると考えられ、現在でも、医療用医薬品として、下痢と便秘を繰り返すような過敏性腸症候群(イリタブルコロン)の治療に用いられています。市販の胃腸薬にも配合した商品がいろいろあります。

サプリメントとしては単独で使われるほか、ビール酵母やオリゴ糖、ドクダミ、アロエなどと一緒に配合され、「おなかの調子を整える」「便通をよくする」などとして販売されている商品もあります。一般の下剤や下痢止めと比べると作用はおだやかとされ、胃腸のちょっとした不調にはよいのですが、強い腹痛を伴う便秘、ストレスが関与していると思われる便秘(コロコロした小さな便が出るようなもの)などに使用すると、症状を悪化させるおそれがあります。適切な治療が必要ですから、早めに受診するようにしましょう。下痢や便秘がだらだらと長く続いている場合も、まずは医師・薬剤師に相談を。

明るい昼間と真っ暗な夜。規則正しい生活の中で、ポインセチアは秋の深まりとともに鮮やかな赤に染まりつつあるのでしょうか・・・。私たちもそんなリズムを大切にしたいところです。