活性炭(チャコール)

 「出すって大切。腸内の老廃物(滞留便)をスムーズに排出し、便秘、便秘による肌あれを緩和する便秘治療薬。」最近テレビなどで、よく目にする下剤のCMです。デトックスブームの中、便も早く出さなければ大変と、脅迫観念にとらわれてしまいそうです。便秘には、下剤より日常生活の改善のほうが大切です。そして有害物質の排出なら、活性炭も役に立ちそうです。


 活性炭は、炭素を主体とした物質で、そのなかに直径1~10nm(1nm=10-10m)位の微細孔をもつのが特徴です。炭を見ると穴がいっぱい開いているように、活性炭の内部にも網目状にこの微細孔がはり廻らされているのです。この微細孔の表面にいろいろな物質を吸着することが知られており、日常生活の中でも、脱臭、水質浄化、有害物質の吸着などを目的として使用されています。

 医療分野では、薬用炭として、腸内のガスや有毒物質を吸着して、体外へ排出させることを目的に、下痢症のほか、異常発酵によってゴロゴロするお腹の不調や、様々な物質による急性中毒の治療に用いられています。また、腎臓の働きが悪くなり、体の中の有害な物質を尿から十分に排泄できなくなる、尿毒症の症状。このような慢性腎不全の治療薬として、腸内で有害物質を吸着し、便とともに排泄し、有害物質の吸収を抑える目的で使用されています。犬や猫などペットが腎不全になったとき、人のように透析で対応というわけにはなかなかいきません。ペットの腎不全治療薬としても使用されています。

 サプリメントとして使用する場合も、やはりこの吸着作用を目的として、腸内での有害物質の吸着など、まさにデトックス作用を期待して使用されます。

 ところで、腎不全治療薬としての活性炭製剤の添付文書の使用上の注意には、「他剤を併用する場合、本剤は吸着剤であることを考慮 し、本剤との同時服用は避けること。ビタミンやホルモン等の生体内における恒常性については、これまでに特記すべき異常は認められていないが、本剤は吸着剤であることを考慮して、特に長期投与の際には、全身状態等に注意すること。」と記載されています。いろいろな物質を吸着。体にとって有害な物質だけを吸着してくれればいいのですが、必要なものまで吸着してしまうのはやはり問題です。服用中の薬剤がある方は、その使用は医師や薬剤師に相談を。そして長期連用は、やはり避けたいものです。


 ヤシ殻活性炭と言った時、冷蔵庫の消臭剤が思い浮かぶのは、お年を召した方でしょうか。活性炭入りシャンプー、石鹸。いいですよねと言われ、びっくり。恐るべし活性炭パワーです。