ヨモギ

 先日 友人から和紙で作った5段飾りのお雛様が送られてきました。娘に飾ってあげて下さいとのプレゼントです。2月です。そろそろお雛様を出して飾る。そんな時期ですね。でも、最近、我が家のお雛様は、押入れの隅で眠りっぱなし。ちょっと気の毒かなと思いながら、お雛様抜きで、菱餅、ちらし寿司、ハマグリのお吸い物でささやかに娘の成長を願いながら、雛祭りのお祝いをしています。


 ところで、赤と白と緑の三食からなる菱餅。お雛様を飾る時、はてどちらを上にするのと、そんな質問をよく母にしたものです。そのたびに、「草があって、雪があって、桃!」とリズムをつけながら妙な歌で返してくれました。

 雪の下で芽吹く若草。それが菱餅の緑。緑の菱餅は、ヨモギ餅で、ヨモギは厄を払う薬草として古くから使用されてきました。最近でも、ヨモギは草餅として食されるだけではなく、ヨモギ茶として飲用されたり、葉を虫さされや湿疹、あせも、アトピー性皮膚炎などに外用として使用されたりします。ヨモギの作用として知られている、止血、食欲増進、肌荒れ・アトピー性皮膚炎・湿疹・あせも等(外用)への作用を期待してのことでしょう。もちろん、これら外用として使用した場合の効果はどうかわかりませんが、よい薬のなかった時代には大きな役割を担っていたといえるでしょう。

 現代において、アトピー性皮膚炎などはステロイド薬の使用が不可欠で、ヨモギはその役割を終えたといえると思います。もちろん、キャンプなどで山に出かけ、切り傷や虫刺されの薬がなかった時、ヨモギの汁をためしてみる。そんな使い方は生活の知恵といえそうです。また、成長した葉の裏の毛を、お灸の「もぐさ」としても利用されています。

 ところでヨモギは、食物繊維はもちろん精油成分(シネオール、ツヨーン等)や葉緑素、カルシムなどのミネラルやビタミンを豊富に含むことが知られていますから、普通に草餅を一つ食べるといった程度なら問題ないと思いますが、ヨモギ茶やヨモギ青汁などとして大量に摂るときはミネラルやビタミンとの相互作用が問題となります。特にワルファリンを飲んでいる方は、特に過量に摂ることは避けるべきでしょう。


 2月はスギ花粉症が問題となる季節ですが、ヨモギも花粉症の原因の一つとしてよく知られています。スギとは違い、ヨモギの花粉の飛散時期は8月~10月。ヨモギの恩恵は受けたいと思いますが、アレルギーは、ノーサンキュー。8月、河原のヨモギには要注意です。