ビタミンB2

 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を参考にして栄養素の摂取量などを紹介していく第4回目は、ビタミンB2です。最近、コマーシャルで上戸彩さんが、「♪オロナミンCの黄色は、ビタミンB2の色」と歌っているので、耳にした人も多いのではないでしょうか。


 ビタミンB2の化学名は、リボフラビン。体内では、その多くがフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)やフラビンモノヌクレオチド(FMN)という長い名前の物質となって存在しています。

 ビタミンB2の大きな役割は、糖質や蛋白質、脂質が分解されてエネルギーが生み出されるとき、補酵素としてその反応を助けること。エネルギー代謝には欠かせない栄養素の一つなのです。

 ビタミンB2のエネルギー代謝量当たりの推定平均必要量は、1000kcalあたり0.5mgとされ、今回の食事摂取基準もこの値をもとに設定されました(推奨量は、推定平均必要量×1.2)。

 エネルギー代謝に不可欠ということは、エネルギーを多く消費する人ほど必要量が高まるということ。からだを使う仕事をしている人、スポーツをしている人、成長期にある小児はもちろんですが、ダイエットをしている人も、ビタミンB2を忘れずに。頑張って運動や食事制限をしても、エネルギーとなって燃やされなければ十分な結果は得られませんからね。

 ビタミンB2はまた、皮膚や粘膜などを健康に保つためにも欠かせません。平成20年の国民健康・栄養調査の結果をみると、どの年代でも、必要とされる量をほぼ満たしているようですが、不規則な生活や偏食などが続いて、口内炎ができたという経験をお持ち方も多いと思いますが、ビタミンB2が不足すると、口内炎や口角炎、舌炎、肌荒れ、にきびなどの原因にもなってしまいます。

 そんなときは、医薬品のビタミンB2剤などで補充してほしいのですが、ビタミンB2は水溶性。からだの中には蓄積されず、一度にたくさんとっても尿に出て行ってしまいますから、用法・用量を守って、きちんと摂るようにして下さい。

 ビタミンB2を摂取すると尿は黄色くなります。これは、上戸さんが歌っているように、ビタミンB2の黄色なので、まったく心配はありません。ただ、摂取をやめても黄色いときなどは、一度受診されるとよいでしょう。

 近年、ビタミンB2が片頭痛によいのではないかといわれています。頭痛治療ガイドラインでも、「片頭痛予防効果が示唆されている」ものとして挙げられています。しかし、その時使用されたビタミンB2の量は1日400mg。18~69歳の男性の推奨量は1.5~1.7mg、女性は1.2mgですから、かなり大量であることがわかります。片頭痛の方にとっては、“藁をもつかむ”思いかもしれませんが、自己判断では使用せず、専門の医師に相談するようにして下さい。