ビタミンB6

 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を参考にして栄養素の摂取量などを紹介していく第14回目は、ビタミンB6です。皮膚を健康に保つとして知られるビタミンの一つですが、どんな特徴があるのでしょうか。


 ビタミンB6は、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンなどの化合物の総称。ピリドキシンとピリドキサンは主に植物に、ピリドキサールは主に動物に存在しているといわれます。

 体内では、約100種類の酵素の補酵素として働いていますが、特に蛋白質(消化されてアミノ酸になる)の代謝に深く関与していることから、蛋白質を多く摂る人では、必要となるビタミンB6の量も多くなるといわれています。

 事摂取基準では、ビタミンB6の推奨量は18歳以上の男性が1.4mg、女性が1.1mgとされていますが、平成20年国民健康・栄養調査の結果を見ると、1日の平均摂取量は20歳以上の男性で1.74mg、女性では2.03mg。珍しく女性の摂取量のほうが多くなっています。女性の数値を押し上げているのが、補助食品からの摂取。10代までは男女の差はほとんどないのですが、20代になると男性0.38g、女性0.82gと差がつき始め、30代では男女ともやや減るものの、70代以上になると男性0.91mg、女性1.86mgと差が広がっています。全体的に見ても、食事から摂取するビタミンB6の量は、男性1.26mg、女性1.08mgと男性のほうが多いのですが、補助食品からの摂取となると、男性0.47mg、女性0.94と倍近い差がついています。はっきりした理由はよくわかりませんが、ビタミンB6が皮膚の健康を維持するのに役立つといわれることから、サプリメントなどで摂取している女性が多いのかもしれません。口内炎や肌荒れ、にきびなどによいとされるビタミンB2も、女性の摂取量のほうが多くなっています。

 水溶性のビタミンの多くは、過剰に摂取しても尿中に排泄されるので大丈夫と考えられがちですが、ビタミンB6に対しては過剰摂取に対して注意が必要で、18歳以上の男性は50~60mg、女性は40~45mgという耐容上限摂取量が定められています。これは、ピリドキシンを過剰に摂取すると、手足の痛みやしびれなどの末梢感覚神経障害や感覚神経障害、骨の痛み、筋肉脆弱、精巣萎縮、吐き気、腹痛などがみられるため。からだにとって必要なものであっても、摂取目安量を守って摂ることが大切です。

 サプリメントでの補給時の注意は、食事の摂取においてビタミンB6が単独で不足することはまずなく、ビタミンB6が不足しているときは、他のビタミンB群も不足していることが多いといわれます。この補給にはマルチビタミンやビタミンB群(ビタミンBコンプレックス)などを利用するとよいでしょう。