ルテイン

 10月10日は体育の日。かと思ったら、国民の祝日を月曜日に移動して土・日・月の3連休とする「ハッピーマンデー制度」のため、体育の日は10月の第2月曜日になっていました。
 ではもう一つ、10月10日は? 目の愛護デー。1010を横にすると、目とまゆの形になることに由来するそうなので、これは移動するわけにはいきません。しかも、その歴史は古く、始まりは1931(昭和6年)。中央盲人福祉協会が、失明予防の活動の一つとしてこの日を「視力保存デー」としたことによります。「視力保存」というストレートな言葉。切実で、真剣な思いが伝わってくるようです。

 現在、高齢者が視力を失う原因の一つとされている疾患に、加齢性黄斑変性があります。網膜の中央付近にある黄斑という部分に異常を生じるもので、症状は、物がゆがんで見える、視野の中心部が欠ける、視力が低下するなど。ゆっくり進行する「萎縮型」と、急激な視力低下が起こる「滲出型」があります。
 患者さんの多くが60歳以上であることから、目の老化現象と考えられていますが、ビタミン類(A、C、Eなど)やミネラル(亜鉛、銅など)をきちんと摂ることによって、発症や進行が抑えられるともいわれています。
 特に注目されている栄養素が、カロテノイドの一種であるルテイン。ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれ、すぐれた抗酸化作用をもつことで知られています。
 食物などから摂取したルテインは、目に特異的に集まり、太陽光線によるダメージから目を守っていることが知られるようになりました。網膜や水晶体中のルテイン量が減ると、加齢性黄斑変性や白内障のリスクが高まるともいわれています。
 ルテインは、ニンジンなどに多く含まれるβ-カロテンの仲間なのですが、一緒に摂ると、互いに影響し合うのか、ルテインの体内での利用率が低下するとのデータがあります。
 とはいえ、通常の食事の中で摂る程度であれば、問題は少ないのではないかと思われます。まずは、理想的な野菜摂取量とされる1日350gを目標に、バランスよく食べていただいて。目のことがちょっと心配なときには、ルテインのサプリメントを加えてみてはいかがでしょうか。
 ただし、実際に何らかの異常を感じたとき、見え方がいつもと違うと思ったときは、すぐに検査を。加齢性黄斑変性も早く治療をはじめれば、進行を遅らせることもできるとされています。