クイズからビタミンの色

 先週紹介した、ドラッグストアショーでの薬のクイズの回答と解説です。「ドリンク剤。のんだ後、おしっこの色が黄色くなるのは副作用である。」この答えは誤り。おしっこの色が黄色くなったのは、ドリンク剤に含まれるビタミンB2が吸収され、尿の中に排出されたためです。副作用ではありませんから心配する必要はありません。

 ビタミンB2(リボフラビン)は、黄色の物質で、糖質、脂質、たん白質等の生体内代謝に広く関しています。成長促進・皮膚や粘膜の保護といった働きがあります。また、ビタミンB2は光に弱いため、ドリンク剤のボトルが茶褐色になっているのは、光から保護するためのものなのです。ですから、ドリンク剤をコップに入れて氷を入れてチビチビ飲むなんてことはやめた方がいいですよね。

 私が経験した、ビタミンB2の黄色にまつわるエピソードを紹介します。昔、患者さんが薬を飲んでいると言うのですが、なぜか効果が現れない。どうしたらよいかと悩んだ医師からの指示でビタミンB2配合の薬を渡し、尿の色の変化を確認。尿の色に変化はなく、やはり患者さんは、薬をのんでいなかったのです。今は、このような使われ方はされないと思いますが、何とか薬をのんでもらいたいと必死だった若い医師の思いを感じと事を覚えています。

 また、ビタミンB2制剤を販売している製薬会社へのクレームもいろいろ、「下着が黄色くなったどうしてくれる。」当時のクレーム担当窓口の部長さんが、「そんなクレーム対応できるか。黄色のパンツでも送ってやれ。」と、怒り心頭。製薬会社への頭にくるクレームの一つとして語って下さったことがあります。でも、先日、目薬を点眼してあふれた点眼液を買ったばかりのレースの白いハンカチで拭いたら黄色に。さすがにその時は、あーあ。やっちゃった。と、黄色いパンツエピソードを懐かしく思いだしました。黄色尿にちょっとびっくりして、ああドリンク剤を飲んだと思いだし、胸をなでおろした経験がある方もいらっしゃるでしょうね。

 この他にも、尿が黄色くなるため、尿蛋白(試験紙)での検査など尿を使用しての臨床検査値に影響を与えることがありますから、健康診断の時には服用を避けるべきです。

 水溶性のビタミンは吸収されて尿中に排泄されますから、多く摂り過ぎても過剰症として問題になることはほとんどありません。ただ、たくさん飲んでも体の外に排出されてしまう訳ですから、用量を守って飲んで頂くことが大切です。

 もちろん、ビタミン剤など尿の色に影響を与える薬をのんでいなくて尿の色が濃くなった時、脱水や肝障障害などが関係しているかも知れません。尿の色を見る習慣はとても大切です。