漢方薬

 ドラッグストアショーでの薬のクイズの回答と解説の5回目です。「漢方薬は、長期間のみ続けることで体質が変わり効果が出るので、風邪をひきにくい体質にするために葛根湯をのみ続けている。○か×か」。正解は×です。葛根湯は、風邪のひき始めに使用する漢方薬で、体を温めてくれる生薬成分が多く含まれています。西洋薬の風邪薬とは異なり、風邪の症状を抑えるというより、風邪を治すための力を高めてくれる薬と言えます。しかし、のみ続けたからと言って、風邪をひきにくくなるということではありません。

 漢方薬は、自然に存在する植物、動物、鉱物などを材料にした、2種類以上の生薬を漢方医学の長い経験にもとづいて、混ぜ合わせてつくられたものです。その漢方薬をのむと、配合によるいろいろな成分がお互いに影響し合いながら、からだ全体に作用し、病気の原因となっているものに対して自分で治す力(自然治癒力)を高める効果が得られるといわれています。

 しかし、漢方薬の中でも、速効性を期待して使用されるものもあります。今回紹介している葛根湯も、同じく風邪や花粉症の鼻水などの改善のために使用する小青竜湯、あるいはこむらがえりに使用する芍薬甘草湯なども速効性を期待して使用されます。

 今回の例のように漢方薬に関しては、いろいろ思い違いをされている方がいらっしゃいます。例えば、漢方薬は自然のものだから、作用が穏やかで副作用がない・・・。とおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに、漢方薬に副作用という言葉は使用しませんが、漢方処方がその人に合わず、目的以外の症状が出れば副作用と同じです。

 夜間頻尿に使用される八味地黄丸は、「体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ」で、冷えがある人が使用する漢方薬です。従い、体が火照りやすい人が使用すると、顔が赤くなったり、火照るという不都合な症状がでてきやすく、体質が合わない不向きな漢方薬を使用しということになります。きちんと体質を見極めれば、このような不都合な症状が出ることはないといえます。

 また、漢方薬の使用で気をつけていただきたいのは、OTC医薬品の商品名です。漢方薬と思わないで使用されていう方もいらして、医療用の八味地黄丸を使用されている方が、OTC薬のハルンケアを併用されているということを経験したことがあります。ハルンケアは八味地黄丸です。そのような重複は、避けることが大切です。漢方薬の使用も、是非、薬剤師にご相談ください。