カフェインと昼寝

 私たちの体は、起きている時間が長くなると、体や脳を休ませるために眠くなる体の仕組みがあります。その一つとして知られているのが、睡眠誘発物質の蓄積です。現在知られている最も強力な睡眠誘発物質はプロスタグランジンD2という物質です。プロスタグランジンD2は、脳の中のアデノシン濃度を増やし、そしてそのアデノシンが、アデノシン受容体に働きかけ眠気を引き起こすことがわかっています。

 このアデノシン受容体に働きかけ、眠気を防ぐのがカフェインです。眠気覚ましのコーヒーや、眠気防止薬、眠気を抑えるサプリメントなどにカフェインが含まれていることは皆さんよくご存じだと思います。

 大事な会議。容赦なく襲ってくる眠気。眠っては困るというときに、ついコックリ、コックリなんて事は困りますよね。そんな時は、やはりカフェインの出番でしょうか。カフェインを含む、ドリンクタイプの眠気防止薬を一本飲む。なんだか、効いてきた気がする。なんて、そんなにすぐ効くわけはありません。

 のんだカフェインは、腸から吸収されて肝臓をへて心臓に行き、血流に乗って全身に運ばれ、脳のアデノシン受容体に働き眠気を防止する。その間20分~30分くらいかかります。こんなカフェインの作用発現時間を考えて使用することも大切です。

 ところで、最強の眠気防止対策は、なんといっても眠ること。10分から20分程度の昼寝でも十分疲れが回復することが知られていますから、昼寝が大切です。いや、疲れていたら、20分で起きるのは無理。やはり、1時間から2時間くらい寝ないと・・・。と、思われるかも知れませんが、こんなに眠ってしまうと夜に眠れなくなって困ります。また、1時間程度では、起きた時に、寝ぼけた状態で、かえってつらくなるとの指摘もあります。

 そこで、究極の昼間の眠気改善対策を、国立精神・神経医療研究センターの三島和夫先生に教えていただいたのが、昼寝とカフェインの、合わせ技対策です。

 つまり、眠くなってきたら、カフェインを飲み、20分後に目覚ましをかけて昼寝をする。と、いうものです。20分で、疲れが回復し、カフェインが効果をあらわすころに目覚めるようにするものです。目覚めた後は、睡眠で疲れが回復しているだけでなく、カフェインの作用も重なって、眠気スッキリと、いうわけです。なんだか、納得ですよね。

 なぜ、私たちが眠くなるのか、なぜ、私たちは、起きていられるのか。そんな理由が解明され、それらの知識を持って、昼間の眠気対策や不眠対策を考えることが必要です。不眠は、生活習慣病ともいえます。不眠対策のための、生活習慣の改善は、次週お伝えします。