日光浴

 ビタミンDは、小腸でのCa吸収亢進、副甲状腺でのPTHの合成抑制、腎臓でのCa再吸収促進などに関係するとともに、骨に対しては破骨細胞(骨を壊す細胞)および骨芽細胞(骨を作るのに関係する細胞)にも作用し、骨が壊され作られる骨代謝を改善することが報告されています。すなわち、ビタミンDは、骨を強くしてくれるビタミンです。しかしそれだけでなく、ビタミンDは、筋肉を強くしたり、免疫力を高めインフルエンザを予防するなど様々な作用が期待できるということは、以前にも紹介しました。

 このビタミンDは、食物として摂取されるほか皮膚でも合成されます。食物から供給されるビタミンDにはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)があります。

 一方、皮膚には7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)が存在し、紫外線の作用によりプレビタミンD3を経てビタミンD3となります。そして体内に取り込まれたビタミンD3は、肝臓と腎臓で水酸化を受けて、活性型ビタミンD3になりいろいろな作用をします。

 ところで、1日に必要とされるビタミンD(5.5μg)を皮膚(両手の甲と顔)で作ろうとした時、どの程度の時間、日光に当たる必要があるのかという興味深いデータが発表されました。

 独立行政法人国立環境研究所の中島英彰氏らの報告によれば、 7月の晴天の日の12時頃では、札幌・つくば・那覇ではそれぞれ、4.6分・3.5分・2.9分で必要量のビタミンDの生成を行うことが出来ると事ですが、12月の晴天の日の12時では、札幌・つくば・那覇では76.4分・22.4分・7.5分で太陽高度の低い札幌では、必要量のビタミンD生成に、つくばと比較すると。3倍以上の時間が必要ということになります。もちろん、これは晴天の日の時間ですから、曇りの日などこれより長時間の日光照射が必要となります。

 昔、東北地方で日光照射不足からくる病が問題となり、日光浴の必要性が言われました。しかし、最近では紫外線の有害性が大きくクローズアップされるようになり、母子手帳からも日光浴は削除され外気浴に変更されています。

 でも、北海道や東北の赤ちゃんにとっては、冬には、日光浴が必要ではと思えます。また、骨粗鬆症防止のための日光浴は、両手を15分程度と、いろいろな書籍に記載されていますが、これは東京近郊の話しでは。北海道や東北では冬場は、もっと長時間の日光照射が必要と思えます。狭い日本と思っていましたが、なんだか大きな国に思えてきました。