シトルリン

 シトルリン○○という商品が最近販売されるようになりました。でもいったいシトルリンて何んのこと、と思われる方も多いのではないでしょうか。

 シトルリンは、新アミノ酸成分とも呼ばれますが、スイカやメロン、ゴーヤー、キュウリなどのウリ科の植物に含まれ、その存在は以前から知られていました。欧米では、疲労回復や筋力アップや運動能力向上などに利用されてきましたが、日本では、昨年4月に食品として利用することが認められたばかり。それを受けての「新成分」というわけです。
 一般的にアミノ酸は、体内で蛋白質に合成されますが、シトルリンは蛋白質の材料として利用されることはありません。遊離(フリー)のアミノ酸として血液や筋肉中に存在し、血管や皮膚の健康維持に関与していると考えられています。
 その代表的な作用が、体内での一酸化窒素(NO)の生成を高めること。でも、NOは大気汚染物質のはず。工場の排煙や自動車の排気ガスなどに多く含まれていますよね。
 そんなものがからだに必要なの?と思われるかもしれませんが、NOには血管平滑筋の緊張をゆるめ、血管を拡張する作用があります。その結果、血液の流れがよくなり、手足の冷えやむくみ、血色の悪さなどの改善、さらには高血圧や動脈硬化の予防などにも役立つのではないかと期待されています。
 シトルリンはまた、それ自体が肌の天然保湿成分でもあり、肌のはりや潤いを保つともいわれています。このため、化粧水などに配合されていることもあるようです。
 シトルリンの副作用や相互作用については、今のところ、ほとんど情報がありません。安全性は高いともいわれますが、その作用から考えると、NO生成の主役でもあるアルギニンとの併用でNOの生成に影響を生じたり、降圧薬やニトログリセリンなどの硝酸薬の作用を強めたりする可能性も否定できません。日本での使用歴も浅いので、高血圧や心臓病などがある人は、念のため、注意したほうがよいでしょう。

 シトルリンは、アフリカのカラハリ砂漠に自生するスイカには、特に多く含まれているといわれます。直射日光が強く、乾燥が激しい環境の中で育つ、みずみずしいスイカ。その力強い生命力の一端を、シトルリンが支えてきたのかもしれません。